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石油一本足からの脱却と、人を信じる経営へ——100年企業を第二創業へ導く経営者の気づき

石油一本足からの脱却と、人を信じる経営へ——100年企業を第二創業へ導く経営者の気づき

増田石油株式会社 代表取締役社長 増田 成泰さん

慶應義塾大学卒業後、東芝に入社。後に米国MBA取得、エクソンモービル勤務を経て2002年に家業に参画。2010年に社長就任後、社員の成長を軸に事業の幅を広げていく。飲食店運営や、Eコマース分野などで事業拡大を進め、2026年に創業100周年を迎え、さらに事業領域を広げていく多角的成長を目指している。

NEO福岡第2期へご参画いただく増田石油の増田社長へインタビューを行いました。

長崎で育ち、東京へ。
すぐには戻れなかった“家業”の存在

長崎出身。高校までは長崎で過ごし、大学進学を機に東京へ渡りました。

大学卒業後、すぐに家業へ戻る選択はしませんでした。

「長男だったので、いつかは継ぐんだろうな、という気持ちはありました。でも、当時は踏ん切りがつかなかったんです。」

家業への葛藤、父との関係。
距離のあるまま東京で一般企業に就職し、社会人としてのキャリアをスタートさせました。

留学という“遠回り”がくれた視点

社会人として数年働く中で、「このままでいいのか」という思いが芽生えます。
しかし、すぐに実家へ戻る選択はできませんでした。そこで選んだのが留学でした。

MBAを取得し、アメリカ流の合理性や効率を重視する経営を学びました。
当時の増田さんは、「優秀な人間が正しい判断をすれば、組織は動く」と信じていたといいます。

帰国後は、家業へ戻るのではなく、家業の取引先である石油会社で約2年間現場を経験。
“外から会社を見る時間”をあえて選びました。

この一連の遠回りが、後に大きな意味を持つことになります。

31歳で入社、そして社長へ

31歳で家業に入社し、その後実務経験を経て社長に就任。
社長就任後、増田さんが強く感じていたのは、会社の“空気”と、事業の“将来性”でした。

長年続いてきたトップダウン型の経営。
指示は下りてくるが、現場から意見は上がってこない。

「何か言ったら怒られる」「余計なことは言わない方がいい」
そんな無言の空気が、組織全体を覆っていました。

また、石油産業の縮小。
市場規模の縮小の一途を辿る石油産業にこだわるのではなく、複数の事業をやっていく必要性を感じたといいます。

石油一本足では、生き残れない

石油業界は、増田さんが入社した頃から縮小傾向にありました。
何もしなければ、現状維持どころか、確実に衰退する。

だからこそ、新規事業に挑み続けました。
成功したものばかりではない。むしろ失敗の方が多いです。

それでも挑戦をやめなかったのは、「やらなければ、縮小する」と分かっていたからです。

「正論では人は動かない」と知った瞬間

MBAで学んだ合理性。
効率的で正しい経営判断。

それらが、現場では通用しないことを、身をもって知りました。

「どんなに正しいことでも、その人についていきたいと思えなければ、人は動かない」

会社を動かすのは、ロジックではなく“人の感情”でした。
一人の優秀な人間だけでは、組織は変えられない。

この気づきが、増田さんの経営の軸を「人」へと大きく転換させました。
そこからすぐに社員のモチベーションに注目し、後に社員から自然発生的に意見が出る社風を目指す風土改革プロジェクトを始動させました。

人を大切にする経営との出会い

その思想を決定づけたのが、稲盛和夫氏の「盛和塾」でした。

「全従業員の物心両面の幸福を追求する」

利益より先に、社員の幸せがある。
チームワークこそが、会社の力になる。

一見すると当たり前の言葉が、当時の増田さんには強烈に刺さりました。

そこから、経営の中心は明確に「人」になりました。

NEOに感じた、“社内にも必要な空気感”

NEO福岡に参加した理由も、「人」にあります。

自然発生的に意見が生まれ、若者たちが本気でぶつかり合っている。
その空気を見て、「これは刺激になる」と直感しました。

まずは自分が知ること。
そして、社員が参加したらどうなるかを想像する。

「こういう場に触れることで、社内の空気は確実に変わると確信しました。」

若くて、やる気のある団体は、企業にとっても社会にとっても貴重な存在だと感じています。

若者へ伝えたいこと

「今の若者は保守的だとか、やる気がないとか、そんなことはないです。
熱量を持っている人は確実にいるし、ちゃんとその努力を見ている人もいます。」

大切なのは、“経験すること”
情報は平等に手に入る時代だからこそ、リアルな体験の価値は高い。

一人では難しくても、仲間がいれば進められる未来がある。
それを知る場として、NEOのような存在に期待を寄せていますので、
思う存分経験して欲しいと思います。

第二創業期へ——これからの100年をつくる

今年、会社は創業100年を迎えますが、増田さんは「ゴール」ではなく「スタート」だと考えています。

もう一度、創業するくらいの気持ちで、新しい事業に挑む。
若いうちから権限を渡し、成長のエンジンを早く育てる。

人を信じ、任せることで、組織は強くなる。

その先にあるのは、会社だけでなく、地域や社会の未来です。

人が動き、挑戦が生まれ、価値が広がっていく。
増田さんの経営は、今日もその循環をつくり続けていると感じました。

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