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「既存の前提を疑い、新しい価値を創造していこう」KBCグループホールディングス経営戦略室長 松尾恵美氏が語る変革への挑戦

「既存の前提を疑い、新しい価値を創造していこう」KBCグループホールディングス経営戦略室長 松尾恵美氏が語る変革への挑戦

松尾恵美(まつお えみ)は、KBCグループホールディングス株式会社・経営戦略室長。1995年の入社以来、テレビ制作、編成、営業、総務人事など、幅広い部門での経験を持つ。入社当初はテレビ制作部に所属し、「モーニング・モーニング」などの番組制作に携わる。2024年7月より現職。経営戦略室では、放送事業の将来性を見据えた新規事業戦略の推進を担当している。

70年の歴史を持つ放送業界で、変革の必要性に直面する中、KBCグループホールディングスは新たな戦略的方向性を模索しています。本インタビューでは、テレビ制作の現場からキャリアをスタートし、現在は経営戦略室長として組織の未来を描く松尾恵美氏に、放送業界の課題と今後の展望についてお話を伺いました。

入社当時は、とにかくテレビ番組が作りたかったんです。テレビ制作部でキャリアをスタートし、情報番組「モーニング・モーニング」などを担当しました。KBCにはADというポジションがなく、入社初年度からディレクターとして取材、編集まで一貫して関わる、そんな実践重視の環境で経験を積みました。その後、人気番組「ドォーモ」の担当や、編成、営業、総務人事といった多様な部署を経験したことが、今の経営戦略室での業務に繋がる視野の広がりを与えてくれたと感じています。一年前の2024年7月、経営戦略室に配属されました。「経営戦略室はどんな仕事なんですか?」とよく聞かれるのですが、一言で言えば、KBCグループがこの先どうやって生き残っていくのか、そのための事業戦略を練る部署です。ご存知の通り、放送業界は約70年続く歴史ある産業ですが、人口減少やSNSの急速な発達といった社会の変化の中で、従来の地上波放送だけに依存するビジネスモデルでは、いつか必ず限界に直面します。変化の時代において、KBCグループがどうすれば生き残れるのか、KBCグループで働く仲間たちに「一緒に考えよう!」と旗を振るのが私の役割です。経営戦略室には、様々な部署で経験を積んだ社員が集まっていて、KBCの未来を創り上げるための戦略を練っています。

心に刻まれた、熊本からの「ありがとう」

これまでのキャリアで特に印象深い出来事として、テレビ制作時代のお話をさせてください。私は2012年~2016年まで「アサデス。九州・山口」という番組のプロデューサーを務めていました。この番組は、文字通り九州・山口エリアに同時ネットする番組で、日々、九州・山口の情報を紹介していました。2016年4月、私がテレビ制作部長に就任した直後、熊本地震が発生しました。連日、熊本の被害の様子が報じられましたが、私たちも「アサデス。九州・山口」で地道に熊本を応援する放送を地道に続けていました。大地震の中、奇跡的に生き残った自家製酵母を大切に営業を続けているパン屋さん、自分たちの力でなんとか熊本を再建しようとする学生・・・番組に登場する熊本の方々は本当にたくましく、私たちの方が応援されているような気持ちになりました。

地震から約1年後、福岡のメディア関係者と九州各地で観光に携わる方々が集うパーティーが開催され、私も出席しました。その時、熊本県の方が登壇された際、多くの関係者がいる前で「アサデス。九州・山口!君たちは、本気で熊本を応援してくれた!本当にありがとう!」と、熱を込めて発言されました。それを聞いて「私たちの想いは届いていたんだ」と、涙が出ました。その時の光景は、今も目に焼き付いています。

地上波の放送は、どうしても一方通行になりがちです。でも、視聴者の方からいただくお手紙や、こうして対面で伝えてくださる感謝の言葉は、「本当にやっていてよかった」と心から思える瞬間であり、何よりの励みになります。

アットホームな社風と変化を恐れないDNA

採用面接の場などで出会う学生さんからよく「KBCはアットホームですね」と言われます。社員同士の距離が近いんでしょうね。実際、社内にはユニークでフレンドリーな社員が多くて、それがKBCならではの温かい雰囲気につながっているのかなと感じています。

その一方で、KBCは変化を恐れない企業文化も持っていると思います。1年前、社員向けの事業戦略説明会で「このまま何もしなければ20年後に会社がなくなるかもしれない。それだけ厳しい状況なんだ。」と、シビアなシミュレーションを提示しました。どんな反応があるか心配でしたが、若手社員からは「むしろやる気になった」「自分が未来を変えられるとワクワクした」という声が多く聞かれたんです。ああ、いい会社だな、と素直に思いました。もちろん不安を訴える社員もいましたが、不安に思うことが悪いということではないんです。みんなで様々な感情や危機感を共有しつつも、それを前向きなエネルギーに変えていくために「どうすればできるか(How can we do?)」を常に考えるカルチャーが、KBCには根付いていると感じます。

「Playfull」な挑戦:NEO福岡への参画

変化の激しい今の時代、「仕事を楽しむスタンスが重要だ」と強く感じています。変化を「きつい・しんどい」と思っていたら、身動きが取れなくなってしまいます。だったら楽しんだ方がいいですよね。この「Playfull」な精神は、私たちが新たな取り組みとして参画を決めたNEO福岡にも通じるものがあると思っています。

NEO福岡への参画は、初めて三木代表さんにお会いした時、直感で「やるしかない!」と心に決めたことがきっかけです。ただ、社内で説明するためには「なぜKBCグループが参加すべきなのか」をしっかりと言語化して、経営陣を説得する必要があると思いました。「これはボランティアや寄付ではない。KBCグループが参加する意義を明確にすべきだ。」と考えたんです。

私たちが放送するテレビ・ラジオは、多くの方に視聴者・リスナーに支えられていますが、「テレビ番組を見てもらう」「ラジオ番組を聴いてもらう」だけの間柄から、もう一歩進んで、たとえ狭くてもいいから、もっと深く多くの方と繋がる場を作りたいと思っています。中でも、これからの未来を作り上げて行く若くてユニークな人材とのタッチポイントが不可欠で、NEO福岡は、まさにそのために最適なプラットフォームだと感じました。

若者たちへ:「今、存在しないものを、生み出そう」

NEO福岡との連携を通じて、私が期待しているのは「今存在していないものを生み出すこと」です。数年後に振り返った時「NEO福岡に参加したから、今、これがあるよね」と言えるような成果を一つでも作りたいと思っています。既存の前提を疑い、新しい価値を創造すること。その活動は、KBCだけでなく、福岡全体を活性化させる力になると信じています。

これからを担う30歳以下の若いリーダー候補の皆さんへ伝えたいのは「暴れてください」ということです。大人に忖度することなく、楽しんで、自発的に行動してほしいと思っています。

そうはいっても、若い皆さんは、どこまでやっていいのかと萎縮してしまうかもしれませんね。もしかしたら私たち大人がそういう雰囲気を作ってしまっている部分もあるのかもしれませんが、どうかその殻を破って、自由な発想で挑戦してほしいと心から願っています。

大人にウケそうなものを作るのではなくて、自分たちが「未来にとって、今、この行動が必要だ」と思うことを追求してください。KBCグループはPlayfullな皆さんと、新しい未来を共に創造する存在でありたいと思っています。

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