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制度を変え、未来を変える。ヤマエグループCHO丸山 武子さんのキャリアと覚悟

制度を変え、未来を変える。ヤマエグループCHO丸山 武子さんのキャリアと覚悟


ヤマエグループホールディングス株式会社 常務取締役CHO(最高 人事責任者
人事・総務担当 丸山 武子さん 。
1987年ヤマエ久野宮崎支店に一般職として入社。7年目に総合職に転換し福岡の食品営業本部に勤務。その後、2016年に海外事業部の設立と部長職を経験。2020年4月に人事部に異動し人事部長、6月に執行役員へ就任。2021年に持株会社であるヤマエグループホールディングス株式会社)の設立と同時にヤマエグループホールディングス株式会社執行役員就任。2022年に常務執行役員へ昇任。2023年に常務取締役CHO最高人事責任者 人事・総務担当 就任。その他、福岡県労働委員会委員も務める。

背中を押してくれた一言から、すべてが始まった

「行ってみたらいいじゃない。きっと何かが変わるから。」

27歳のとき、宮崎から福岡への転勤を迷っていた丸山さんの背中を押したのは、家族や仲間のそんな言葉だった。
まだ男女の役割意識が色濃く残る時代。一般職として入社し、現場でキャリアを積み重ねていた丸山さんにとって、それは大きな決断だった。

「当時は、女性の転勤がほとんどなくて。周りからも『本当に行くの?』と心配されましたが、家族や友人が『行ってみればいいじゃない』と後押ししてくれました。その言葉に背中を押されて、思い切ってチャレンジしました。」

宮崎で築いた『働く力』の原点

入社は、男女雇用機会均等法が施行された翌年。
宮崎支店の一般職として、受注・仕入れ・倉庫管理など、現場を支える仕事を担っていた。

「お客様から注文をいただいて、メーカー様に発注して、倉庫の管理をして。
とにかく現場で動いていましたね。
電話一本で信頼を築いていくような時代で、地道に積み重ねていく中で“仕事って面白いな”と思うようになりました。」

現場で得た感覚は、今も自身の仕事観のベースになっているという。
「お客様の信頼を積み重ねること」「ひとつひとつの業務に意味があること」。
それを肌で学んだ7年間だった。

27歳、福岡へ──初めての挑戦

福岡への転勤をきっかけに総合職へと転換。
当時の『女性総合職』はまだ珍しく、一般職から総合職へ転換者の第1号だった。

「職種や性別を意識したことはほとんどなかったです。
ただ、目の前の仕事を精一杯やっていたら、自然と道が開けていきました。」

食品部門で企画・営業支援・営業会議・部門研修の設計など幅広い業務を担当し、会社全体の動きを支える役割を担うようになった。
このときの直属の上司が、現会長の網田会長。お得意先様、仕入先様など取引先様との取り組みや部門の発展に、ともに奔走する日々が続いた。

海外事業の立ち上げで感じた、世界の広がり

その後、会社全体で海外展開が始まり、丸山さんは海外事業部の立ち上げに携わる。
社内に海外事業の経験者はおらず、まさにゼロからの挑戦だった。

「最初は右も左も分からない状態でしたが、外部のアドバイザーに助けてもらいながら、仕組みづくりを進めました。
異文化に触れる中で、視野が一気に広がりましたし、“人と人とのつながり”の重要性を改めて感じましたね。」

誰もやったことがないことに取り組む面白さと、チームで乗り越える力。
その経験は、丸山さんにとって『人を育てるとは何か』を考えるきっかけにもなった。

制度を変え、人を信じる

2020年、人事部長に就任。
就任時に網田会長から与えられたミッションは旧態依然の人事制度の大改革でした。
『これからの時代に合った働き方をつくる』ため、従来の『総合職・一般職』制度を廃止し、『全国キャリア職・地域キャリア職』へと再編した。

「性別ではなく、働くスタイルで選べるようにしたかったんです。
転勤ができるかどうかという“ライフステージ・ライフスタイルに寄り添う制度”に変えました。」

さらに、社員の待遇改善にも大きく舵を切る。
2023年から3か年計画で給与を約20%引き上げるという会社方針!


「まず会社が社員を信じることが大事だと思うんです。
給与を上げることが社員へのモチベーションとパフォーマンスを引き出し、結果は自然とついてくると信じています。」

『制度を変える』というのは、単に仕組みをつくることではない。
社員一人ひとりを信じることから始まる──丸山さんの信念だ。

人を育てるのは、制度ではなく信頼

人事・総務を統括する今も、丸山さんが何より大切にしているのは『人との対話』。

「悩んだら、上司や先輩に話してほしいです。
同世代同士では共感はできても、解決にはつながらないこともあります。
少し先を歩く人の言葉に救われることが、きっとあるはずです。」

自身も若いころから『相談する力』で道を切り開いてきた。
現状とは違った視点を求めて、隣の部署の上司に意見を聞いたり、飲み会で気軽に話したりしていたそうです。


「当社は本当に家族のような温かい空気感があります。」


そんな“社内の温かい空気”が、ヤマエグループの文化として受け継がれている。

他流試合が、人を成長させる

NEO福岡への共感について尋ねると、丸山さんは少し笑顔になった。

「私も若いころ、異業種の研修に参加したことがあって。
他社の方と出会う中で、“自分の現状のレベル感と学習不足感など”気づかされました。
だから、NEOのように企業と若者が越境して学び合う場があるのは本当に素晴らしいと思います。」

「福岡はアジアに一番近い場所。
九州から日本、そして海外へ──視野を広げてチャレンジする若者が増えていったら嬉しいですね。」

その言葉には、人を育てる立場としての想いと、ひとりの挑戦者としての優しさがにじんでいた。

“やってみる”が未来を変える

「完璧を目指すより、まず“やってみる”こと。
小さなことでもいいんです。
できた、やれた、喜ばれた──そうした小さな達成感の積み重ねが、仕事を楽しくしていきます。
いつも大切にしている3つの事があります。」

  • Opportunity (好機)を逃さず、チャレンジ!
  • 『人として』の軸を大事に(性別に縛られない)
  • 周囲を頼ること・・・決して独りではありません。

「あのとき“行ってみよう”と思えたから、今の私がある。
皆さんも、そんな一歩を大切にしてほしいですね。」

制度をつくり、人を育て、未来を見据える丸山さん。
その根底にあるのは、いつの時代も変わらない『人への信頼』と『行動する勇気』だった。

  • 制度を変え、未来を変える。ヤマエグループCHO丸山 武子さんのキャリアと覚悟

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