NEO INTERVIEW NEOで活躍する、
地域のPlayful Leaderたち

優秀ではなく愛されるリーダーが地域を切り開く──ORENDA WORLDが描く“AIと地方創生”の未来

優秀ではなく愛されるリーダーが地域を切り開く──ORENDA WORLDが描く“AIと地方創生”の未来

澁谷 陽史(しぶや あきふみ)氏
株式会社ORENDA WORLD 代表取締役社長。創業メンバーとしてORENDAを立ち上げ、現在は代表を務めている。美大を卒業後、新卒でセガサミーに就職し、ゲームコンテンツの制作現場を経験。そこで感じた日本のクリエイター業界の一発逆転を狙う不安定な環境を目の当たりにし、クリエイターを継続的に応援できる仕組みが必要だと感じ、AIとクリエイティブの融合をテーマに2015年株式会社ORENDA WORLDを創業。現在に至る。

リーダーは「最初から100%の完璧超人じゃなくてよくて、思いっきり失敗した方がいい。」そう語る澁谷陽史さんは、現在ORENDA WORLDの代表として、独自のAIソリューションによる開発事業を中心として、地方の若者にも最先端の研究環境をつくるためのAIデータセンター事業や、想いのあるクリエイターによる地方創生を手掛けるなどクリエイティブな思考で日本の未来を創る代表の澁谷陽史さんに、地方創生とクリエイターの価値についてその想いを伺いました。

地方から日本のクリエイターの価値を上げたい

クリエイターが活躍し続けるためには「応援してくれる人が絶対に必要」なんですよね。

ORENDA WORLDでは、僕も武蔵美出身なのでクリエイターをサポートしたいと思って始めました。 元々茨城出身で、震災で被災したこともあり地方の大変さというのはすごく感じていたんですけど、地方って一定の偏差値より上は安定を目指して公務員になるみたいな風潮があって、僕はそうじゃなくて自分で何かを生み出してお金を稼いでいこうという考え方があった。

「美大の中でもおかしなやつは少数派だけど、数年するとおかしなやつが成功していて、すごい作品生み出したりするんですよね。」

実際日本は天才待ちのカルチャーなんですよ。日本のクリエイターはすごく奥の深い作品をつくれる、宮崎駿さんのような作品ってやっぱりアメリカからは生まれてこなくて、悪者にも正義があるみたいな複雑な心理的な表現って日本人ならではだと思います。

一方でコンテンツを生み出すのにはすごいお金がかかって、今は中国とかサウジアラビアが巨額の投資をして日本のゲームコンテンツを買っていて日本の大きい制作会社の8割くらいは外資になっている。

僕は元々セガサミーというゲーム会社でキャリアをスタートさせたんですけど。「5年間勤めて一本も作品が当たらないとかが普通にあるんすよ。」

500とかプロジェクトを作って一つも当たらないみたいな博打みたいな世界なんですね。それでも、先人たちの天才が作った一つのコンテンツを何回も繰り返し使ってビジネスにしていく部署があって、そこの稼ぎが強い。

ゲームがメガヒットすると一発で300億とか入ってくるから、それで10年とか生きていくみたいなことが起きるのが面白さでもあって、本当に会社潰れるぞみたいな時にすごい作品が出てくる。だからやめられないんですよね。

AIデータセンターを通じて情報格差を埋め、地方の若者にチャンスを。

「日本にまだまだクリエイターが足りない。」

地方でクリエイターが活躍するための課題としては、二つあって当たり前ですけど、仕事が足りていないこと、そして、そもそも情報が足りないことです。

個人的にはローカルが頑張らないと日本はやっていけないと思っていて。今の地方は人口の8割なのにその人たちが安定志向だったら日本は大丈夫?という感覚があります。

だからこそ自分たちで勝負していく人が地方に必要。そのための勉強できる場所と仕事を与えていくことが大事で主要事業のAIやゲーム事業に加えて、大きなチャレンジとして30億円の資金を集めて福島県の葛尾村という場所でAIデータセンターを作っています。

今の社会だと、若者がAIやりたいってなっても専用のコンピューターが一台1000万円とかする。みんなAIやりたいっていうんだけど、できる場所がないというのが現状です。

例えば今の若い子がAIコンピューターに触りたいって言ったら国立のいい大学に行くか、大手企業に入社してみたいな流れになるんで、みんな地方から出ていってしまうんですよ。

だからこそ、AIデータセンターが地方にあることで、地方でも高度人材の雇用を生み出すことができて、それが地域の活性化につながるという思いでやっています。今やAIエンジニアの年収は1億円近くまで来てますから夢があります。

福岡からさらにローカルに広がっていくことをNEOに期待

「NEOが福岡だけでなく、熊本、佐賀、大分みたいに広がっていくことを期待している。」

NEOに期待しているのは、九州の福岡の周辺の地域にもリーダーが広がっていくこと。地域に行けば行くほど新しいことに手を挙げる人が本当に減ってくる。

AIデータセンターがあって、産官学連携が進み、そこに雇用が生まれて地域が活性化するというORENDA WORLDが目指す世界においてもNEOのようなリーダーがよりローカルな地域にも増えてくると本当の意味での地方創生になっていくと思う。

AIのリスキリングサービスA.I.KEN

これまで地域企業に対するリスキリング研修を行ってきたのですが、新たにAI研究所としてAIが愛犬のような存在になることを目指してA.I.KENというAIを研究し、企業の人材に実装・伴奏していくサービスを立ち上げました。A.I.KENは双子の東大工学部の院生を中心に最先端のAI技術や研究を理解しつつ、それを企業向けの研修として提供しています。

AXやDXというのはただ研修を受けただけでは全く意味がなく、そこから会社が本当の意味で変容し、賃上げができるような状況に社員の方々が成長することが必要不可欠です。A.I.KENでは研修後の成果物を出すまでの伴走支援まで行うのが特徴で、確かな知識と技術を持って、企業の生産性向上ができる人材を会社内に増やします。将来的にはA.I.KENが税理士や弁護士のような存在になれればと考えています。

優秀ではなく愛されるリーダーに。

「リーダーはカッコ悪くてもいい、失敗して、時には逃げてもそれでも戦っていく。」

「こんな面白いことしていく、人生賭けます!」って泣いたり、笑ったりしていく人の方がリーダーになれる。リーダーは怒られるのも仕事で、いざという時に謝れるかもすごく重要。優秀であればあるほど怒られないように上手く立ち振るまってしまうので、お腹を見せていっていいと思う。

「最初から100%の完璧超人じゃなくてよくて、思いっきり失敗した方がいい。」本当に死にそうになってあと1週間でお金がないみたいな状態になって、99%潰れるぞみたいな状況からひっくり返すみたいな経験をしないと本当の意味で強い地域のリーダーは育たない。

人のお金を背負ってやり切るみたいな経験がすごく重要、キーエンスの社長もセガサミーの社長も2回会社を潰したところから復活しているのでそういう厳しさを経験してるからこそ強い。前提を超えてそういったチャレンジをぜひ若者にはしていって欲しいです。

  • 優秀ではなく愛されるリーダーが地域を切り開く──ORENDA WORLDが描く“AIと地方創生”の未来

  • 20代で起業し創業6年で上場。成長はかけた時間ではなく、強い意思から生まれる!

  • 九州とともに挑む、新しい小売業のかたち──人を育て、地域と育つ、イオン九州の変革

  • 「楽しくなきゃ、仕事じゃない」――西鉄・森永課長が語る挑戦の美学

  • 「自分たちの手で、いい会社にしよう」から始まった挑戦──JR九州・宮野原氏が語る変革の30年と若者への期待

  • トラックに乗るつもりが、人を育てる道へ。そして今、若者に賭ける思い

  • ドラッグストア業界の革新を目指して― 新生堂薬局・水田怜社長が描く「相談できる薬屋」の未来 ―

  • 楽しくなければ、人生じゃない。仕事じゃない。―現場発・人づくりと事業づくりを両立する経営者の「仕事論」

  • 「人を大切にする会社」は本当だった― ―さくらフォレストが描く“熱量の細胞分裂”

  • 30社30億円の未来構想――福岡から“ウェルビーイング”を届ける挑戦

  • 西日本シティ銀行が見据える未来 – 地域密着と革新、若者と共に創る福岡

  • 共感の先に、まだ見ぬ景色を。ふくおかフィナンシャルグループ 取締役執行役員(福岡銀行 取締役執行役員)橋爪氏が語る、地域への想いと若者と共に創る未来

  • 「既存の前提を疑い、新しい価値を創造していこう」KBCグループホールディングス経営戦略室長 松尾恵美氏が語る変革への挑戦

  • 常識を覆す挑戦と、未来への「面白い」の追求

  • 株式会社タカギ 下原様が語る、チャレンジ精神と地域、そして若者との未来共創

  • 通信の未来を切り拓く挑戦と、九州に根ざす想い

  • やずやの人と組織の成長、そして未来への挑戦

CONTACT お問い合わせ