2023.11.24
みんなで作るスポーツチーム。近い距離感がいい
札幌のパン屋さんの代表格・どんぐりが 北海道イエロースターズを通じて叶えたい思いとは?
野尻 雅之(のじり・まさゆき)
株式会社どんぐり 代表取締役社長
1978年生まれ。札幌市出身31歳の時に先代の父から事業引き継ぐ。会社を存続させるために、社員一人一人の思いを育て、地域に愛される会社づくりに努める。現在札幌市内にベーカリーショップを11店舗とおむすび店1店舗を展開する。札幌観光大使。
事業について教えてください
どんぐりは、パンとお菓子の製造と販売をしている会社です。特徴的な商品が他のパン屋さんと違っています。また「串ザンギ」など、惣菜パンの具材が単独商品になったものもあります。お客様からザンギだけ売ってと言われ、出してみたら今や人気ランキン グで3位です。
社員がみんな自由に商品開発していて、わが店に来るお客様をどう楽しんでもらおうかと考えることに特化しているので、全店統一の商品は半分以下という独特なパン屋です。当社のちくわパンは、いつの間にか札幌のソウルフードと呼ばれるようになり、有名な鉄道系ゲームにうちの店が出ていたり、大手のポテトチップスがちくわパン味を発売したり、バンコクにある日本のパン屋に「北海道名産ちくわパン」と紹介され店で販売されていたり、本当に嬉しいですね。とある人気俳優が「ちくわパンが好き」と公言したので、彼のファンクラブの方から「多く用意した方がいい」と連絡を受け、いつもの3倍売れたこともありました。
商品開発は、各店舗で毎月試作品を検討し店に並ぶ流れです。商品開発部門はなく、社員がもっと商品開発を楽しめるよう後押しをする、商品開発促進チームがいます。入社1年目の女性が作ったパンが、年間ナンバーワンのヒット商品になったこともありました。みんな自由に、製造方法も自分たちで調整してOK。やりすぎて、まれに全店統一のレシピまで変わる事はありますが、もうそれは元に戻せばいい話なので。
そんな自由さもあって、新業態も広がりました。当社の製造スタッフが「どんぐりの強みって、出来立てで手作りで、お客様にワクワク楽しんでもらうことですよね。パンじゃなきゃいけないんですか?これだけ手作り具材を作っているのだから、お米を炊いて、その具材を載せてもいいんじゃないか」と提案があり、社内で検討して、おにぎり屋さんになりました。オープン当初から利益が出ていて、すごいと思います。父は明らかに創業者タイプで、自分の信念を貫いて社員を引っ張っていたのですが、僕は叱るとかは苦手です。なので、みんなが活躍できる環境を与えるということしかできなくて、今はそういう社風になっています。
北海道イエロースターズとはどんな出会いが?
最初のきっかけは、三木さんご自身の思いを講演で聞いたことですね。出来上がっているものに乗っかって何かをアピールしていく関わり方より、まだ成長していないプロチームと一緒に成長していくような関わり方ができそうだと。応援というよりも一緒に歩みたいなと思えました。距離感がいいと思うんです。スーパーメジャーの選手がいて、その人がお金を集めていますという感じではなく、道路を作り、公園を作り、ビルを作り、都市環境を考えるようなまちづくりゲームをやっている気がします。
それにバレーボールって、試合での選手と観客との距離が近くていいですね。野球やサッカーの方がメジャーな競技ですが、やはり距離は遠い。イエロースターズの試合を見に、うちの家族と先日行ったのですが、すっかり選手のファンになりました。
今後やっていきたい事は?
どんぐりの良さとは、地元のお客様とつながっていることだと思います。そこに地元の話題や魅力を紹介し共有することで、もっと地元の人たちと深くつながることができます。サフィルヴァ(現北海道イエロースターズ)とのコラボで、どんぐりの新札幌店で開発した「サフィルヴァーガー」も、「サフィルヴァ北海道というバレーボールチームがあるよ」と地元の魅力を知るきっかけになればと思い、やっていました。
以前バンコクへ行った時に「札幌を知っているよ」と現地の方から聞きました。サッカーのチャナティップ選手がきっかけで知られていたのです。いろんなきっかけで、地元の良さが外へ広がっていくと思います。札幌の人でさえ観光のお勧めは、すすきの、味噌ラーメン、時計台しか言えない人が多いのです。札幌に魅力がないから、小樽や美瑛に行けという人もいます。地元の人こそ地元の魅力を知らないことが多いので、もっと地元を知ってもらえる場を提供したいと思います。
新しいスポーツチームのカタチを創りたいと思っていますので、是非多くの方に北海道イエロースターズを一緒に盛り上げる仲間になっていただけたら嬉しいです。
株式会社 どんぐり
1983 年 3 月、札幌市中央区円山に「珈琲舎どんぐり」を開業。 同年10月、札幌市豊平区にあった美園市場の一角に、パン屋「どんぐり」をオープン。1992年、今の本店(札幌市白石区南郷通 8 丁目南1-7)に移転し、本格的に「焼きたてパンの店 どんぐり」 として営業を開始。その後、新札幌に2号店をオープン。以来、ほぼ2年毎に札幌市内の地域商店街へ店舗数を拡大。定番品はもちろん、具材の味付けから始める新たな惣菜パンを次々リリースし、多数のファンを獲得。中でもちくわパンは札幌グルメの代表格に。2015 年、初めての札幌市中心部の店舗として、カフェを併設した大通店が「ル・トロワ」1Fにオープン。隣接の「てづくりおむすびの店 どんぐり」では、惣菜パンの具材をおむすびで楽しむ店として新たな挑戦に取り組んでいる。